「破天荒(はてんこう)」という言葉を聞くと、
「豪快な人」
「大胆で型破りな人」
という意味を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、「破天荒」の本来の意味は、
これまで誰も成し遂げられなかったことを初めて行うことです。
辞書でも「前人のなしえなかったことを初めてすること」と説明されています。
文化庁の調査では、「豪快で大胆な様子」という意味を選んだ人が65.4%に上っており、
本来とは異なる意味の方が広く理解されていることが分かります。
この記事では、「破天荒」の本来の意味や由来、「豪快で大胆」という意味は誤用なのか、
正しい使い方や例文を分かりやすく解説します。
「破天荒」の意味とは?
「破天荒」は「はてんこう」と読みます。
本来は、今まで誰も成し遂げられなかったことを初めて行うこと、前例のないことを意味します。
例えば、
彼は業界で誰も成功していなかった方法を実現した、まさに破天荒な人物だ。
という場合は、単にその人の性格が豪快という意味ではありません。
それまで誰も成し遂げていなかったことを実現したという点が「破天荒」のポイントです。
「破天荒」の由来
「破天荒」は、中国の故事に由来する言葉です。
唐の時代、荊州という地域からは官吏登用試験の合格者が長い間出ておらず、
その状態が「天荒」と呼ばれていました。
その後、劉蛻(りゅうぜい)という人物が初めて試験に合格し、
「天荒を破った」とされたことが「破天荒」の由来とされています。
そこから、
誰も成し遂げていなかったことを初めて成し遂げる
という意味で使われるようになりました。
漢字だけを見ると「荒々しい」「激しい」という印象を受けるかもしれませんが、
本来の意味は性格の豪快さを表すものではありません。
「破天荒=豪快で大胆」は誤用?
現在では、
彼は破天荒な性格だ。
破天荒な生き方をしている。
のように、「豪快」「大胆」「常識にとらわれない」といった意味で使われることがあります。
しかし、これは辞書などで本来の意味とされてきた使い方とは異なります。
文化庁の令和2年度「国語に関する世論調査」では、
彼の人生は破天荒だった。
という例文について、「破天荒」の意味を尋ねています。
結果は次のとおりです。
| 意味 | 割合 |
|---|---|
| だれも成し得なかったことをすること | 23.3% |
| 豪快で大胆な様子 | 65.4% |
つまり、本来の意味とされる方を選んだ人は23.3%だったのに対し、
「豪快で大胆な様子」を選んだ人は65.4%でした。
そのため、
「破天荒=豪快」は絶対に通じない
というわけではありません。
実際には「豪快で大胆」という意味で理解する人の方が多いという調査結果があります。
ただし、本来の意味を知っている人には違和感を持たれる可能性があるため、
意味を正確に伝えたい場面では注意した方がよいでしょう。
なぜ「破天荒」は間違えられやすい?
「破天荒」という漢字を見ると、
「天を破るほど豪快」
「荒々しく大胆」
といったイメージを持ちやすいかもしれません。
しかし、「破天荒」の「天荒」は、
もともと未開の荒れ地や、まだ切り開かれていない状態を表す言葉です。
その「天荒を破る」という故事から、
「前例のないことを初めて成し遂げる」という意味になりました。
つまり、
「荒」という漢字=荒々しい性格
と考えると、本来の意味から離れてしまいます。
「破天荒」と「型破り」の違い
「破天荒」と混同されやすい言葉の一つが「型破り」です。
簡単に整理すると、次のようになります。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 破天荒 | 誰も成し遂げていなかったことを初めて行う |
| 型破り | 一般的な型や常識から外れたやり方をする |
例えば、
これまで誰も成功していなかった記録を達成した。
なら、「破天荒」と表現できます。
一方、
常識にとらわれない独特な方法で仕事をする。
という意味なら、「型破り」の方が意図を伝えやすいでしょう。
「豪快で自由な人」を表現したい場合にも、
「型破り」「大胆」などを使った方が誤解を避けやすくなります。
「破天荒」の正しい使い方・例文
例文1:前例のない挑戦
誰も実現できなかった技術を完成させた、破天荒な挑戦だった。
これまで誰も成し遂げていなかったことを実現したという意味です。
例文2:新しい記録
彼はそれまでの常識を覆す破天荒な記録を打ち立てた。
前例のない成果を出したことを表しています。
例文3:事業
その会社は業界初となる破天荒な事業を成功させた。
単に大胆な事業という意味ではなく、それまで例がなかったことを実現したという使い方です。
「豪快な人」と言いたい場合の言い換え
性格や行動について「豪快」「大胆」という意味を伝えたい場合は、
「破天荒」以外の表現を選ぶと意味が明確になります。
例えば、
豪快な人
大胆な人
型破りな人
自由奔放な人
常識にとらわれない人
などです。
例えば、
彼は破天荒な性格だ。
ではなく、
彼は型破りで大胆な性格だ。
とすれば、伝えたい意味が分かりやすくなります。
特に文章や仕事上の表現では、読み手によって意味が分かれない言葉を選ぶと安心です。
「破天荒」の類語・言い換え
本来の意味に近い表現としては、
前代未聞
前例のない
未曽有
画期的
などが挙げられます。
辞書でも「破天荒」は「前代未聞」「未曽有」などと関連する言葉として説明されています。
ただし、完全に同じ意味になるとは限らないため、文章の内容に合わせて選びましょう。
「破天荒」についてよくある質問
「破天荒」の読み方は?
「はてんこう」と読みます。
「破天荒」は「豪快」という意味ですか?
本来は「豪快」という意味ではありません。
今まで誰も成し遂げられなかったことを初めて行うことを意味します。
ただし、文化庁の令和2年度調査では
「豪快で大胆な様子」という意味を選んだ人が65.4%でした。
「破天荒」と「型破り」は同じですか?
同じではありません。
「破天荒」は、誰も成し遂げていなかったことを初めて行うことです。
一方、「型破り」は、一般的な型や慣例から外れたやり方や様子を表します。
「常識にとらわれない人」と言いたいのであれば、「型破り」の方が伝わりやすい場合があります。
「破天荒な人」という言い方は間違いですか?
「破天荒な人」という表現自体が間違いというわけではありません。
本来の意味なら、
これまで誰もできなかったことを初めて成し遂げるような人という意味になります。
「豪快で大胆な人」という意味でも広く理解されていますが、本来の意味とは異なるため、
誤解を避けたい場合は「豪快な人」「型破りな人」などと言い換えると分かりやすいでしょう。
「破天荒」のように、本来の意味と現在よく使われる意味が異なる言葉はほかにもあります。
「確信犯」や「役不足」も意味を誤解されやすい言葉なので、あわせて確認してみてください。
まとめ
「破天荒」は、本来、今まで誰も成し遂げられなかったことを初めて行うことを意味します。
一方、現在は「豪快で大胆な様子」という意味で理解する人も多く、
文化庁の令和2年度調査では、この意味を選んだ人が65.4%でした。
覚えるなら、
本来:誰も成し遂げていないことを初めて行う
よく見られる理解:豪快で大胆、型破り
と整理すると分かりやすいでしょう。
「豪快な人」「常識にとらわれない人」という意味を確実に伝えたい場合は、
「大胆」「型破り」などに言い換えるのがおすすめです。


