「世間ずれ」の意味とは?「世間とズレている」は誤用?正しい使い方と例文

「世間ずれ」の本来の意味と「世間離れ」との違い、文化庁調査を解説したアイキャッチ画像言葉の意味

「世間ずれしている人」と聞くと、
「世間の常識からズレている人」という意味を思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし、「世間ずれ」の本来の意味は「世間からズレている」ではありません。

「世間ずれ」とは、
世間でもまれた結果、世の中の裏表に詳しくなり、したたか・ずる賢くなることを意味します。

漢字では「世間擦れ」と書くため、「世間+ズレ」ではなく、
世間+擦れ」と考えると分かりやすいでしょう。

一方、文化庁の調査では「世の中の考えから外れている」という意味を
選んだ人が半数を超えており、現在は本来とは異なる意味でも広く理解されています。

この記事では、「世間ずれ」の意味や誤用とされる使い方、
文化庁の調査結果、「世間離れ」との違い、正しい例文まで分かりやすく解説します。

「世間ずれ」の意味とは?

「世間ずれ」は「せけんずれ」と読み、漢字では 「世間擦れ」 と書きます。

本来の意味は、

世間でもまれて経験を積み、世の中の裏表を知って、したたか・ずる賢くなること

です。

単に「社会経験が豊富」というだけではなく、社会経験を重ねる中で純粋さや初々しさを失い、
世慣れしたというニュアンスを含むことがあります。

例えば、

「若いころは純粋だった彼も、長年この業界で働くうちに世間ずれしてしまった。」

というように使います。

「世間ずれ=世間とズレている」は誤用?

「世間ずれ」を「世間一般の考え方から外れている」「常識とズレている」
という意味で使う人は少なくありません。

しかし、これは本来の「世間ずれ」の意味とは異なります。

間違えやすい理由は、「世間ずれ」という表記を、

世間 + ずれ

と捉えてしまいやすいためです。

実際には、

世間 + 擦れ

です。

「擦れる」には、人と接したり社会経験を積んだりする中で世慣れし、
純粋さを失うという意味があります。

そのため、本来の「世間ずれ」は「世間からズレる」という意味ではありません。

ただし、現在の使われ方を考えると「絶対に誤用」とだけ言い切るのも注意が必要です。

三省堂によると、『三省堂国語辞典』では
1982年の第三版から「世間の動きとずれている」という用法も取り上げられています。

つまり、本来の意味を押さえつつ、「世間からズレている」という新しい意味でも広く使われている
と理解するのが実態に近いでしょう。

文化庁の調査では55.2%が本来とは異なる意味を選択

文化庁の平成25年度「国語に関する世論調査」では、「世間ずれ」の意味について次の結果が出ています。

回答割合
世の中の考えから外れている55.2%
世間を渡ってずる賢くなっている35.6%
両方1.9%
全く別の意味2.7%
分からない4.7%

「世の中の考えから外れている」が55.2%で、
本来の意味である「世間を渡ってずる賢くなっている」の35.6%を上回りました。

さらに、平成16年度と比較すると大きな変化が見られます。

意味平成16年度平成25年度
世の中の考えから外れている32.4%55.2%
世間を渡って
ずる賢くなっている
51.4%35.6%

平成16年度には、本来の意味を選んだ人が51.4%で多数派でした。

しかし平成25年度には結果が逆転しています。

また、平成25年度調査では若い年代ほど「世の中の考えから外れている」を選ぶ傾向が強く、
「世間ずれ」の受け取り方には年代差も見られます。

相手によって意味が違って伝わる可能性があるため、使う場面には注意したい言葉です。

「世間ずれ」と「世間離れ」の違い

「世間ずれ」と混同しやすいのが「世間離れ」です。

言葉意味
世間ずれ世間でもまれ、
世の中の裏表を知ってしたたかになること
世間離れ考え方や行動が
世間一般からかけ離れていること

簡単に整理すると、

世間ずれ=世間を知りすぎている

世間離れ=世間一般から離れている

という違いがあります。

例えば、

「彼は長年商売をしているだけあって、かなり世間ずれしている。」

なら、経験を重ねて世慣れし、したたかになっているという意味です。

一方、

「彼の金銭感覚は少し世間離れしている。」

なら、一般的な感覚からかけ離れていることを表します。

「世間からズレている」と言いたい場合は、「世間離れ」の方が意味を正確に伝えやすいでしょう。

「世間ずれ」の正しい使い方・例文

本来の意味を踏まえた例文を見てみましょう。

例文1

「若いころは純粋だった彼も、社会経験を積むうちに世間ずれしてしまった。」

世間でもまれることで、以前より世慣れしたことを表しています。

例文2

「彼女は経験豊富なのに、不思議と世間ずれしていない。」

多くの経験をしているにもかかわらず、純粋さや素直さを失っていないという意味です。

例文3

「世間ずれした相手だから、簡単な駆け引きでは通用しないだろう。」

相手が世の中の裏表をよく知り、したたかであることを表しています。

「世間ずれしていない」は褒め言葉?

「世間ずれしていない」は、文脈によっては褒め言葉になります。

本来の意味から考えると、

・ずる賢くなっていない
・純粋さを失っていない
・擦れたところがない

といった意味になるためです。

例えば、

「いろいろ苦労してきたのに、彼女は世間ずれしていない。」

なら、経験を積んでも素直さや純粋さを保っていることを好意的に評価しています。

一方、「世間ずれ」を「世間からズレている」という意味で理解する人もいるため、
誤解を避けたい場合は「純粋さを失っていない」「擦れたところがない」
などと言い換えるとよいでしょう。

なお、「世間ずれ」と反対の意味に近い表現としては 「世間知らず」 があります。

「世間ずれ」の類語・言い換え

「世間ずれ」に近い言葉には、次のようなものがあります。

言葉ニュアンス
世慣れ世間の事情に慣れている
したたか簡単には負けず、抜け目がない
老獪経験を積み、非常にずる賢い
すれっからし世間でもまれて純粋さを失っている

「世間ずれ」には、やや否定的なニュアンスが含まれることがあります。

単純に相手の経験を評価したい場合は、
「経験豊富」「世慣れている」などの方が適していることもあります。

「世間ずれ」についてよくある質問

「世間ずれ」の読み方は?

「せけんずれ」と読みます。漢字では「世間擦れ」と書きます。

「世間ずれ」は悪い意味ですか?

世間でもまれて純粋さを失い、ずる賢くなるという意味を含むため、
やや否定的なニュアンスで使われることがあります。

「世間ずれ=常識がない」という意味ですか?

本来は違います。

「世間一般からかけ離れている」という意味を表したい場合は、「世間離れ」の方が適しています。

「世間とズレている」という使い方は完全な間違いですか?

本来の意味とは異なります。

ただし、文化庁の調査では55.2%がこの意味を選んでおり、
辞書でも新しい用法として取り上げられてきた例があります。

そのため、本来の意味とは異なるものの、
現在広く使われている解釈と考えると分かりやすいでしょう。

まとめ

「世間ずれ」は「せけんずれ」と読み、漢字では「世間擦れ」と書きます。

本来の意味は、

世間でもまれた結果、世の中の裏表に詳しくなり、したたか・ずる賢くなること

です。

「世間+ズレ」ではなく、「世間+擦れ」と覚えるのがポイントです。

文化庁の平成25年度調査では、「世の中の考えから外れている」を選んだ人が55.2%で、
本来の意味を選んだ35.6%を上回りました。

また、

世間ずれ=世間でもまれて、したたかになる
世間離れ=世間一般からかけ離れている

という違いがあります。

現在は二つの解釈が混在しているため、本来の意味を知ったうえで、
誤解されそうな場面では「世間離れ」「世慣れている」など、
意味が明確な言葉に言い換えるとよいでしょう。

参考資料・出典

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