「確信犯」の意味とは?「わざとやる人」は誤用?正しい使い方

「確信犯」の本来の意味と「わざとやる人」という使い方の違いを解説するアイキャッチ画像言葉の意味

「確信犯」という言葉を、

「悪いと分かっているのに、わざとやる人」

という意味で使っていないでしょうか。

実際、日常会話ではこの意味で使われることが多くあります。

しかし、「確信犯」の本来の意味は、政治的・宗教的・道徳的などの信念に基づき、
本人が正しいと信じて行う犯罪や行為、またはその人を指します。

この記事では、「確信犯」の本来の意味や現在の使われ方、
「わざとやる人」という意味は誤用なのか、正しい使い方や例文を分かりやすく解説します。

「確信犯」の意味とは?

「確信犯」は「かくしんはん」と読みます。

本来は、政治的・宗教的・道徳的などの信念に基づき、本人がその行為を悪いことではなく、
正しいことだと確信して行う犯罪や、その行為をする人を意味します。

ポイントは、

「悪いと分かっていてやる」のではなく、「自分は正しいと信じてやる」

ということです。

例えば、法律には違反していても、本人が「社会を変えるために必要な行為だ」と
強く信じて行動した場合、本来の意味での「確信犯」に当てはまることがあります。

「悪いと分かっていてわざとやる人」は誤用?

現在では、

遅刻すると分かっていたのに、またギリギリまで寝ていた。あれは確信犯だ。

のように、悪い結果になると分かっていながら、意図的に行う人
という意味で「確信犯」が使われることがあります。

これは本来の意味とは異なる使い方です。

ただし、現在の『デジタル大辞泉』では、「悪いことだと分かっていながら行われた犯罪や行為、
またその人」という意味も掲載されています。

『精選版 日本国語大辞典』でも、俗な用法として、
トラブルになると分かっていて何かを行うことや、その人という意味が掲載されています。

そのため現在は、

本来の意味:正しいと信じて行う
現在広く見られる意味:悪いと分かっていて意図的に行う

という二つの使われ方があると理解すると分かりやすいでしょう。

文化庁の調査では約7割が別の意味を選択

文化庁の平成27年度「国語に関する世論調査」では、

そんなことをするなんて確信犯だ。

という例文を示して、「確信犯」の意味を尋ねています。

結果は次のとおりです。

意味割合
政治的・宗教的などの信念に基づき、
正しいと信じて行う行為・犯罪やその人
17.0%
悪いと分かっていながら行う
行為・犯罪やその人
69.4%
両方の意味5.1%

つまり、本来の意味とされる方を選んだ人は17.0%だったのに対し、
「悪いと分かっていて行う」という意味を選んだ人は69.4%でした。

また、平成14年度の同じ調査では後者を選んだ人は57.6%だったため、
平成27年度には12ポイント近く増えています。

「確信犯」は、本来とは異なる意味がかなり広く浸透している言葉だと分かります。

「確信犯」の二つの意味の違い

整理すると、次のようになります。

使い方意味
本来の確信犯自分の行為は正しいと信じて行う
現在よくある使い方悪いと分かっていながら意図的に行う

一番大きな違いは、本人がその行為を「悪い」と思っているかどうかです。

本来の確信犯は、

「法律には反していても、自分がしていることは正しい」

と考えています。

一方、現在よくある使い方では、

「悪いことだと分かっているけれど、あえてやる」

という意味になります。

ここを押さえると、違いが分かりやすくなります。

「確信犯」の正しい使い方・例文

例文1:信念に基づく行動

彼は自らの政治的信念に基づいて行動した確信犯だった。

本人は自分の行為を正しいと信じていた、という本来の意味での使い方です。

例文2:本人に罪悪感がない場合

本人は社会のために必要な行動だったと主張しており、確信犯的な考え方が見られる。

単に「悪いと分かっていてやった」という意味ではなく、
本人なりの信念や正当性があることを表しています。

例文3:現在よく見られる使い方

注意されると分かっていながら毎回同じことをしているので、彼は確信犯だ。

現在の日常会話では、
このように「悪いと分かっていてわざとやる人」という意味でもよく使われます。

ただし、本来の意味とは異なるため、相手によっては違和感を持たれる可能性があります。

悪いと分かっていてわざとやる行為は何と言う?「わざとやった」の言い換え

悪いことだと分かっていて、あえて行うことを表したい場合は、
「故意に」「意図的に」「わざと」などの表現が適しています。

「確信犯」も現在はこの意味で広く使われていますが、
本来の意味とは異なるため、正確に伝えたい場合は言い換えると分かりやすいでしょう。

「確信犯」は二つの意味で受け取られる可能性があります。

誤解を避けたい場合は、

故意に
意図的に
わざと
悪いと知りながら

などに言い換えると分かりやすくなります。

例えば、

彼は確信犯だった。

だけでは、どちらの意味なのか判断しにくい場合があります。

その場合、

彼は悪いと分かっていながら、意図的に行った。

と書けば、伝えたい内容が明確になります。

特に仕事上の文章や正式な文章では、
意味が一つに定まる表現を選ぶ方が誤解を避けやすいでしょう。

なぜ「確信犯」は意味が変化した?

「確信犯」という言葉を見ると、

「悪いと確信してやっている」
「わざとだと確信できる人」のように捉えてしまうことがあります。

しかし、本来の「確信」は、
本人が自分の信念や行為の正しさを強く信じていることに関係しています。

国立国語研究所でも、「確信犯」について、本来とは異なる使い方が広まっていることを単なる誤用だけでなく、言葉の意味・用法の変化という観点から扱った研究発表があります。

そのため、「現在の使い方は絶対に間違い」とだけ考えるのではなく、
本来の意味を知ったうえで、現在は別の意味も広く使われていると理解するのがよいでしょう。

「確信犯」についてよくある質問

「確信犯」の読み方は?

「かくしんはん」と読みます。

「確信犯」は「わざとやる人」という意味ですか?

本来は違います。

本来の「確信犯」は、政治的・宗教的・道徳的などの信念に基づき、
本人が正しいと信じて行為をすることや、その人を指します。

ただし現在は、「悪いと分かっていながらわざと行う人」という意味も辞書に掲載されています。

「確信犯」と「故意犯」は同じですか?

同じ意味ではありません。

一般に「故意」は、自分の行為や結果を認識したうえで意図的に行うことを表します。

一方、本来の「確信犯」は、本人が自分の行為を正しいと信じていることがポイントです。

日常会話で単に「わざとやった」と伝えたいのであれば、
「故意に」「意図的に」などの表現の方が分かりやすいでしょう。

「確信犯」は日常会話で使っても大丈夫?

使えますが、本来の意味と現在広く使われている意味が異なるため、
受け取り方が分かれる可能性があります。

誤解を避けたい場面では、
「わざと」「意図的に」「悪いと分かっていながら」などに言い換えるのがおすすめです。

「確信犯」のように、本来の意味と現在よく使われる意味が異なる言葉はほかにもあります。
「破天荒」「姑息」も意味を誤解されやすい言葉なので、あわせて確認してみてください。

まとめ

「確信犯」は本来、政治的・宗教的・道徳的などの信念に基づき、
本人が正しいと信じて行う犯罪や行為、またはその人を意味します。

一方、現在では「悪いと分かっていながら、わざと行う人」という意味でも広く使われています。

文化庁の平成27年度調査では、本来の意味を選んだ人が17.0%だったのに対し、
「悪いと分かっていながら行う」という意味を選んだ人は69.4%でした。

覚えるなら、

本来:自分は正しいと信じて行う
現在よくある使い方:悪いと分かっていて意図的に行う

と整理すると分かりやすいでしょう。

意味を確実に伝えたい場面では、
「故意に」「意図的に」「わざと」などに言い換えるのもおすすめです。

参考資料・出典

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