「姑息(こそく)」という言葉を聞くと、
「卑怯」「ずるい」といった意味を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、「姑息」の本来の意味は「一時しのぎ」「その場しのぎ」です。
「卑怯」とは、もともと意味の異なる言葉です。
一方で、現在は「卑怯な」という意味で使われることも多く、
辞書でもそのような用法が見られることが説明されています。
この記事では、「姑息」の本来の意味や「卑怯」との違い、
現在の使われ方、正しい使い方を例文とともに分かりやすく解説します。
「姑息」の意味とは?
「姑息」は「こそく」と読み、
本来は「一時の間に合わせ」「一時しのぎ」「その場しのぎ」を意味する言葉です。
根本的に問題を解決するのではなく、
とりあえずその場を切り抜けるための方法や対応を表すときに使われます。
例えば、問題の原因を直さず、
目の前のトラブルだけを一時的に収める対応なら、「姑息な対応」と表現できます。
「姑息」と「卑怯」「ずるい」の違い
「姑息」は本来「一時しのぎ・その場しのぎ」という意味で、
「卑怯」「ずるい」とは意味が異なります。
| 言葉 | 主な意味 |
|---|---|
| 姑息 | 一時しのぎ・その場しのぎ |
| 卑怯 | 正々堂々としていないこと |
| ずるい | 自分に都合よく、不公平なやり方をすること |
現在は「姑息」を「卑怯」「ずるい」という意味で使う人も多くいますが、本来は別の意味です。
「その場を一時的にしのぐ」のが姑息、
「正々堂々としていない」のが卑怯と覚えると区別しやすいでしょう。
「姑息」の由来
「姑息」の「姑」には「しばらく」、「息」には「休む」という意味があります。
そこから、しばらくの間だけしのぐこと、一時的に間に合わせることを表す言葉になりました。
「姑息」という漢字から「卑怯」という意味を想像するのは難しいですが、
もともとは「その場しのぎ」という意味の言葉です。
「姑息=卑怯」は間違い?
本来の意味で考えると、「姑息」と「卑怯」は同じ意味ではありません。
しかし現在では、「姑息な手段」を
「卑怯な手段」「ずるいやり方」という意味で使う人が多くなっています。
文化庁の令和3年度「国語に関する世論調査」では、
「姑息な手段」の「姑息」について、「一時しのぎ」という意味を選んだ人は17.4%でした。
一方、「ひきょうな」という意味を選んだ人は73.9%でした。
平成22年度の調査でも、「一時しのぎ」は15.0%、「ひきょうな」は70.9%となっています。
国立国語研究所も、「姑息」は「一時しのぎ」という意味ですが、
近年では「卑怯」という意味で用いる人が多い例として紹介しています。
そのため、
「姑息=卑怯は絶対に間違い」
とだけ覚えるより、
「本来は『一時しのぎ』という意味で、現在は『卑怯』という意味でも広く使われている」
と理解すると、実際の使われ方を捉えやすいでしょう。
「姑息」と「卑怯」を具体例で使い分ける
「姑息」と「卑怯」は、本来は次のように意味が異なります。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 姑息 | 一時しのぎ、その場しのぎ |
| 卑怯 | 正々堂々としていないこと、 物事に正面から取り組もうとしないこと |
「卑怯」は、勇気がなく、物事に正面から取り組もうとしないことなどを表す言葉です。
例えば、壊れた設備を根本的に修理せず、一時的な処置だけで済ませるなら「姑息な対応」です。
一方、ルールに反する方法で相手を出し抜くような行為を表したいなら、
「卑怯なやり方」の方が意味が明確です。
簡単に区別すると、
「その場だけをしのぐ」なら姑息
「正々堂々としていない」なら卑怯
と覚えると分かりやすいでしょう。
「姑息」の正しい使い方・例文
例文1:一時的な対応
「その場を乗り切るための姑息な対応では、同じ問題がまた起きるだろう。」
この場合は、問題を根本的に解決せず、一時的な対応で済ませているという意味です。
例文2:その場しのぎの方法
「姑息な方法で期限を延ばしても、根本的な解決にはならない。」
ここでも「卑怯」というより、「その場しのぎの方法」という意味で使われています。
例文3:問題への対処
「姑息な策を繰り返すのではなく、原因を調べて改善する必要がある。」
「姑息な策」は、一時的に問題を回避するための策という意味になります。
「姑息な手段」はどんな意味?
「姑息な手段」はよく使われる表現ですが、受け取り方には注意が必要です。
本来の意味なら、「一時しのぎの手段」「その場を切り抜けるだけの手段」という意味になります。
一方、文化庁の調査結果からも分かるように、
現在は「卑怯な手段」という意味で理解する人も多くいます。
そのため、意味を正確に伝えたい場面では、
「その場しのぎの手段」
「一時的な対策」
「卑怯な手段」
など、意図する意味を具体的に表現すると誤解を避けやすくなります。
「姑息」の類語・言い換え
本来の意味の「姑息」を言い換えるなら、
「一時しのぎ」「その場しのぎ」「場当たり的」「一時的な対応」などが考えられます。
例えば、
「姑息な対応では解決しない」を、
「その場しのぎの対応では解決しない」と言い換えれば、伝えたい意味がより明確になります。
「卑怯」という意味を伝えたい場合には、「卑怯な」「卑劣な」「正々堂々としていない」など、
意味に合った言葉を選ぶと分かりやすいでしょう。
結局「姑息」は現在どう使えばいい?
「姑息」は本来、「一時しのぎ」「その場しのぎ」という意味の言葉です。
一方、現在は「卑怯」「ずるい」という意味で受け取る人が非常に多く、
文化庁の令和3年度調査でも、「ひきょうな」という意味を選んだ人が73.9%でした。
そのため、現在「姑息」という言葉を使うと、
書き手が本来の意味で使っていても、読み手には「卑怯」という意味で伝わる可能性があります。
特に意味を正確に伝えたい場合は、次のように使い分けると分かりやすいでしょう。
| 伝えたい意味 | おすすめの表現 |
|---|---|
| 一時的にその場をしのぐ | 姑息・一時しのぎ・その場しのぎ |
| 根本的な解決になっていない | 場当たり的・一時的な対応 |
| 正々堂々としていない | 卑怯・卑劣 |
| 自分に都合よく振る舞う | ずるい |
例えば、「姑息な対策では解決しない」
という文章は、本来なら「その場しのぎの対策」という意味です。
しかし、「卑怯な対策」と受け取る人もいるため、仕事上の文章では、
「一時的な対策では根本的な解決にならない」
と具体的に書いた方が、意図が明確に伝わります。
また、「姑息な人」という表現も、
「その場しのぎの行動をする人」なのか「卑怯な人」なのか分かりにくくなります。
正しい意味を知っていることだけでなく、
相手にどの意味で伝わるかまで考えて言葉を選ぶことが大切です。
「姑息」についてよくある質問
「姑息」の読み方は?
「こそく」と読みます。
「姑息」は「ずるい」という意味ですか?
本来の意味は「一時しのぎ」「その場しのぎ」であり、「ずるい」と同じ意味ではありません。
ただし現在は、「卑怯」「ずるい」に近い意味で使われることも多くなっています。
「姑息な人」という使い方は正しいですか?
現在は「姑息な人」を「卑怯な人」「ずるい人」のような意味で使う例もあります。
ただし、本来の意味を明確に伝えるなら、「姑息な方法」「姑息な対応」のように、
その場しのぎのやり方を表す使い方が分かりやすいでしょう。
「卑怯な人」という意味を伝えたい場合には、
そのまま「卑怯な人」と表現する方が誤解を避けられます。
ビジネスで「姑息」は使えますか?
使うことはできますが、
「一時しのぎ」と「卑怯」のどちらの意味なのか分かりにくくなる場合があります。
仕事上の文章では、「一時的な対応」「その場しのぎの対策」「根本的な解決になっていない」など、
具体的な表現に置き換えると伝わりやすくなります。
「姑息」のように、本来の意味と現在よく使われる意味が異なる言葉はほかにもあります。
「確信犯」や「敷居が高い」も意味を誤解されやすい言葉なので、
あわせて確認してみてください。
まとめ
「姑息」は、本来「一時しのぎ」「その場しのぎ」を意味する言葉です。
一方、現在は「卑怯」「ずるい」という意味でも広く使われています。
文化庁の令和3年度調査では、「ひきょうな」という意味を選んだ人が73.9%でした。
覚えるなら、
「本来:一時しのぎ・その場しのぎ」
「現在よくある使い方:卑怯・ずるい」
と整理すると分かりやすいでしょう。
特に誤解を避けたい場面では、「一時しのぎ」「その場しのぎ」「卑怯」など、
伝えたい意味を具体的な言葉に置き換えるのがおすすめです。

