「奇特」の意味とは?「奇特な人」は褒め言葉?誤用と正しい使い方を解説

「奇特」の意味と「奇特な人」が褒め言葉であることを解説したアイキャッチ画像 言葉の意味

「彼は本当に奇特な人だ」

このように言われたとき、

「変わった人という意味?」
「褒められているの?それとも嫌味?」

と迷う人もいるのではないでしょうか。

現在、「奇特」は主に、言動や心がけなどが優れていて、褒めるに値することを表す言葉です。

つまり、「奇特な人」は基本的には褒め言葉です。

一方で、「奇」という漢字から
「奇妙」「変わっている」という意味を連想する人も少なくありません。

文化庁の平成27年度「国語に関する世論調査」でも、「彼は奇特な人だ」の意味について、
本来の意味とされる「優れて他と違って感心なこと」を選んだ人は49.9%でした。
一方、「奇妙で珍しいこと」を選んだ人は29.7%でした。

この記事では、「奇特」の意味や読み方、「奇特な人」が褒め言葉なのか、
「奇妙で珍しい」という意味との関係、正しい例文や類語との違いまで分かりやすく解説します。

「奇特」の意味とは

「奇特」は、

言動や心がけなどが優れていて、褒めるに値するさま

を意味します。

読み方は、きとくです。

例えば、誰に頼まれたわけでもないのに地域の清掃活動を長年続けている人について、

「毎朝ボランティアで掃除を続けているとは、奇特な人だ」

と表現できます。

デジタル大辞泉でも、「奇特」の第一の意味として、
言行や心がけが優れていて褒めるに値することが示されています。

つまり現代の日常的な使い方では、

「感心な」
「立派な」
「褒めるに値する」

といった意味で覚えると分かりやすいでしょう。

「奇特な人」は褒め言葉?

「奇特な人」は、基本的には褒め言葉として使われます。

「普通ならなかなかできないような立派な行動をする人」や「心がけが感心な人」などを
評価するときに使われる表現です。

例えば、

「困っている人をいつも進んで助けるなんて、彼は奇特な人だ」

という場合は、その人の行動や心がけを褒めています。

「奇特者」という言葉も辞書にあり、「感心な人」「殊勝な人」という意味です。

したがって、

「奇特な人=変な人」

と考えるのは、現代の一般的な用法とは異なります。

ただし、直接相手に言うと誤解されることもある

本来は褒め言葉でも、

「あなたは奇特な人ですね」

と言われると、「変わった人と言われたのかな」と受け取る人もいるでしょう。

文化庁の調査でも、「奇妙で珍しいこと」と理解している人が29.7%います。

そのため、相手を直接褒めるなら、

「立派ですね」
「素晴らしい心がけですね」
「なかなかできることではありませんね」

などと言い換えた方が誤解されにくいでしょう。

文化庁の調査では「奇妙で珍しい」が約3割

文化庁の平成27年度「国語に関する世論調査」では、

「彼は奇特な人だ」

という例文について、どの意味だと思うかを尋ねています。

回答平成27年度
優れて他と違って感心なこと49.9%
奇妙で珍しいこと29.7%
両方5.0%
全く別の意味4.8%
分からない10.6%

文化庁が本来の意味として示している「優れて他と違って感心なこと」を選んだ人は49.9%でした。

つまり、約半数は本来の意味を理解していた一方で、
約3割は「奇妙で珍しい」という意味だと考えていたことになります。

なお、平成14年度の調査でも、本来の意味を選んだ人は49.9%で同じでした。
「奇妙で珍しいこと」は25.2%から29.7%へ増えています。

「奇特=奇妙」は完全な誤用なの?

ここは少し注意が必要です。

「奇特」を「変わった人」という意味だけで使うのは、
現代の「奇特な人」という表現では誤解につながりやすい使い方です。

しかし、「奇特」に「非常に珍しく、不思議なさま」という意味が
全く存在しないわけではありません。

デジタル大辞泉では、

  1. 言行や心がけなどが優れていて、褒めるに値するさま
  2. 非常に珍しく、不思議なさま

という二つの意味が掲載されています。

精選版 日本国語大辞典にも、
古い用例として「非常に珍しく、不思議なさま」という意味が確認できます。

そのため、

「奇特には絶対に『珍しい・不思議』という意味がない」

と説明するのも正確ではありません。

ただし、現代の「彼は奇特な人だ」のような使い方では、
通常は「心がけや行動が感心な人」という意味で理解するのが適切です。

なぜ「奇特=変わった人」と誤解されるの?

大きな理由の一つは、「奇」という漢字の印象だと考えられます。

「奇」が付く言葉には、

「奇妙」
「奇抜」
「奇怪」
「奇行」

など、「普通とは違う」「変わっている」といった印象を持つものがあります。

そのため、

「奇」+「特」
↓
「特に変わっている」
↓
「変わった人」

と意味を推測してしまいやすいのでしょう。

しかし、「奇特な人」の「奇特」は、
現代では普通ではなかなかできないほど感心な行動をする人を褒める意味で使われます。

漢字だけから意味を推測しないことがポイントです。

「奇特」の正しい使い方・例文

「奇特」は、人の心がけや行動を高く評価するときに使う言葉です。

単に珍しい行動をしたという意味ではなく、
その人の行動や姿勢を「感心だ」「立派だ」と評価する場合に使います。

例文1:日常での心がけ

「誰に頼まれたわけでもないのに、地域の清掃を続けているとは奇特な人だ。」

自分から進んで人のために行動する姿勢を褒めています。

単に珍しい人という意味ではなく、その心がけを高く評価する表現です。

例文2:仕事での行動

「自分の仕事で忙しい中、新人のために分かりやすい手順書を作ってくれるとは、
 奇特な心がけだ。」

自分のことだけでなく、周囲の人のために進んで行動する姿勢を評価しています。

「奇特」は人物だけでなく、「奇特な心がけ」のように、
行動の背景にある姿勢を褒める場合にも使えます。

例文3:長年続けている取り組み

「長年にわたり、地域の歴史資料を自主的に整理しているとは、奇特な方だ。」

人の役に立つ活動を、自発的に長く続けていることへの感心を表しています。

このように、「奇特」は目立つ成果だけでなく、
人のために地道な活動を続ける姿勢を評価するときにも使えます。

「奇特」の間違いやすい使い方

次のような表現は注意が必要です。

△ 彼は誰にも理解できない奇特な趣味を持っている。

ここで「奇特」を単に「変わった」「風変わりな」という意味で使うと、
現代の一般的な意味とはずれます。

この場合は、

「変わった趣味」
「風変わりな趣味」
「珍しい趣味」

などの方が分かりやすいでしょう。

一方で、古い文章などでは「非常に珍しい、不思議」という意味の
「奇特」が登場する場合があります。

したがって、文脈や時代によって意味を判断することが重要です。

「奇特」と「殊勝」の違い

「奇特」の類語としてよく挙げられるのが「殊勝(しゅしょう)」です。

どちらも、人の心がけや行動を「感心だ」と評価するときに使えます。

言葉主な意味
奇特言動や心がけが優れていて、褒めるに値する
殊勝心がけや行動などが感心で、けなげである

「殊勝」には、けなげで感心な様子というニュアンスがあります。デジタル大辞泉でも、
「心がけや行動などが感心なさま」「けなげであるさま」という意味が掲載されています。

例えば、

毎日ボランティア活動を続ける奇特な人

は、その立派な行動そのものを高く評価する表現です。

一方、

反省して毎日勉強している殊勝な態度

では、心がけや態度がけなげで感心だというニュアンスが強くなります。

意味は近いものの、完全に同じではありません。

「奇特」の類語・言い換え

「奇特」が相手に伝わりにくそうな場合は、もっと一般的な表現に言い換えられます。

感心な

心がけや行動を高く評価するときに使いやすい言葉です。

「本当に感心な人ですね」

とすれば、「奇特」より意味が直接伝わります。

立派な

人物・行動・態度など、幅広い場面で使えます。

ビジネスや日常会話でも使いやすい表現です。

殊勝な

「奇特」と意味が近く、心がけや行動が感心なことを表します。

けなげな

困難な状況でも努力する人などを褒める場面に向いています。

誤解を避けることを優先するなら、「感心な」「立派な」「素晴らしい」などが使いやすいでしょう。

ビジネスで「奇特な人」は使える?

意味としては間違いではありません。

ただし、ビジネスでは注意した方がよい表現です。

「奇特」は人の言動や心がけを評価する言葉なので、目上の相手に直接、

「部長は奇特な方ですね」

などと言うと、上から評価しているように聞こえる可能性があります。

また、「変わった人」という意味に誤解する人もいます。

そのため、取引先や上司などを褒める場合は、

「素晴らしいお心がけですね」
「なかなかできることではありません」
「大変立派な取り組みだと思います」

など、より直接的な表現の方が安全です。

結局「奇特」はどんな場面なら使いやすい?

「奇特」は褒め言葉ですが、
相手や場面によっては「変わった人」という意味に誤解される可能性があります。

そのため、意味として正しいかだけでなく、誰に向けて使うかまで考えることが大切です。

使う場面おすすめ
第三者の立派な行動を説明する「奇特な人」「奇特な行い」を使える
親しい相手との会話相手が意味を知っていれば使える
本人を直接褒める「立派ですね」「素晴らしいですね」が
伝わりやすい
上司・取引先を褒める「素晴らしいお心がけですね」などが無難
「変わった人」と言いたい「風変わりな人」「珍しい人」などを使う

例えば、

「毎週欠かさず地域清掃を続けているとは、奇特な方だ」

であれば、第三者の立派な行動を評価する表現として自然です。

一方、本人に向かって、

「あなたは奇特な人ですね」

と言うと、褒めたつもりでも「変わった人と言われた」と受け取られる可能性があります。

その場合は、

「長く続けていらっしゃるのは本当に素晴らしいですね」

など、何を評価しているのか具体的に伝える方が分かりやすいでしょう。

つまり「奇特」は、第三者について感心な人物・行動を表すときには使いやすい一方、
本人を直接褒める場面では、より具体的な言葉に言い換える方が誤解されにくい表現です。

「奇特」についてよくある質問

「奇特」の読み方は?

「きとく」と読みます。

辞書には古い読みとして「きどく」も掲載されていますが、現在は「きとく」が一般的です。

「奇特な人」は褒め言葉?

はい。

現代では主に、言動や心がけが優れていて、褒めるに値する人という意味で使われます。

「奇特」は「変わった人」という意味?

「奇特」には辞書上、「非常に珍しく、不思議なさま」という意味もあります。

ただし、「奇特な人」を単に「変わった人」という意味で使うと誤解されやすく、
現代では通常、感心な人を褒める意味で使われます。

「奇特」と「奇妙」の違いは?

現在一般的な「奇特」は、心がけや行動を褒める言葉です。

一方、「奇妙」は「珍しく不思議」「風変わり」といった意味を表します。

「変わった人」と言いたいだけなら、
「奇特」ではなく「風変わりな人」などの方が伝わりやすいでしょう。

「奇特」の反対語は?

「奇特」に一対一で対応する明確な反対語があるわけではありません。

文脈によって、

「感心できない」
「不心得な」
「身勝手な」

などで反対方向の意味を表せます。

「奇特」のように、本来の意味とは違う印象を持たれやすい言葉はほかにもあります。
「確信犯」や「破天荒」などを紹介している「意味を間違えやすい日本語30選」も、
あわせて確認してみてください。

まとめ

「奇特」は現在、主に、

言動や心がけなどが優れていて、褒めるに値すること

を意味します。

したがって、「奇特な人」は基本的には褒め言葉です。

文化庁の平成27年度調査では、「彼は奇特な人だ」を
本来の意味とされる「優れて他と違って感心なこと」と理解した人は49.9%でした。
一方、「奇妙で珍しいこと」と答えた人も29.7%いました。

ただし、「奇特」には辞書上、古くから「非常に珍しく、不思議なさま」という意味も存在します。
したがって、「奇妙という意味は完全に存在しない」と断定するのも正確ではありません。

現代の日常会話で「奇特な人」と言う場合は、

「感心な人」
「立派な人」
「褒めるに値する人」

と理解するのが基本です。

ただし意味を誤解する人もいるため、重要な場面では「立派な」「素晴らしい」などに言い換えると、
より確実に意図を伝えられるでしょう。

参考資料・出典

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