「失笑」という言葉を、
「笑うこともできないほどあきれる」
「あきれて言葉が出ない」
という意味で使っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、「失笑」の本来の意味は、おかしさをこらえ切れず、思わず笑い出してしまうことです。
辞書でも「思わずふき出して笑うこと」とされています。
一方、文化庁の調査では「笑いも出ないくらいあきれる」
という意味で捉えている人の方が多いという結果も出ています。
この記事では、「失笑」の本来の意味や現在の使われ方、
「苦笑」「冷笑」「嘲笑」との違い、正しい使い方を例文とともに分かりやすく解説します。
「失笑」の意味とは?
「失笑」は「しっしょう」と読みます。
本来は、笑ってはいけないような場面などで、
おかしさをこらえ切れず思わず笑ってしまうことを表す言葉です。
『精選版 日本国語大辞典』でも、「思わずふき出して笑うこと」とされています。
例えば、
あまりにも的外れな発言に、会場から失笑が漏れた。
という場合は、「誰も笑わなかった」という意味ではありません。
思わず笑ってしまったという意味になります。
「失笑=笑いも出ないほどあきれる」は間違い?
「失笑」を、
あまりのひどさに失笑した。
のように、「笑うこともできないほどあきれた」という意味で使うことがあります。
これは、辞書などで主に本来の意味とされてきた使い方とは異なります。
ただし、現在では「笑いも出ないくらいあきれる」という意味で
理解する人がかなり多くなっています。
文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」では、「失笑する」の意味について
次の結果が出ています。
| 意味 | 割合 |
|---|---|
| こらえ切れず吹き出して笑う | 26.4% |
| 笑いも出ないくらいあきれる | 67.0% |
| 両方の意味 | 3.1% |
つまり、本来の意味とされてきた「吹き出して笑う」を選んだ人より、
「笑いも出ないほどあきれる」を選んだ人の方が大幅に多いという結果です。
そのため、「失笑=笑えない」とだけ覚えるのではなく、
本来は「思わず笑ってしまう」意味だが、
現在は「笑いも出ないほどあきれる」という意味でも広く理解されている
と整理すると分かりやすいでしょう。
なぜ「失笑」は間違えやすい?
「失笑」という漢字を見ると、「笑いを失う」と考えてしまい、
「笑えなくなる」
「笑いも出ない」
という意味を連想しやすいかもしれません。
しかし、「失笑」の「失」は、ここでは単純に「笑いを失う」という意味ではありません。
実際の使い方では、笑うつもりがないのに、思わず笑ってしまうという意味になります。
辞書に掲載されている古い用例でも、吹き出して笑う意味で使われています。
「失笑」と「苦笑・冷笑・嘲笑」の違い
「失笑」と似た印象を持たれやすい言葉に、「苦笑」「冷笑」「嘲笑」があります。
それぞれ意味が異なります。
| 言葉 | 主な意味 |
|---|---|
| 失笑 | こらえ切れず、思わず笑ってしまう |
| 苦笑 | 不快感や戸惑いなどを感じながら仕方なく笑う |
| 冷笑 | 相手をさげすんで笑う |
| 嘲笑 | 相手をあざけって笑う |
「苦笑」は、困ったり不快に感じたりしながら仕方なく笑うことです。
「冷笑」は、相手をさげすんだり、あざ笑ったりすることを表します。
「嘲笑」も、相手をあざけり笑うことを意味します。
簡単に整理すると、
思わず吹き出す → 失笑
困りながら笑う → 苦笑
見下して笑う → 冷笑・嘲笑
と覚えると区別しやすいでしょう。
「失笑」の正しい使い方・例文
例文1:会議
あまりにも現実離れした提案に、出席者から失笑が漏れた。
思わず笑ってしまったという意味です。
例文2:発言
彼の場違いな発言に、周囲は思わず失笑した。
こちらも、「あきれて笑えなかった」のではなく、
発言のおかしさなどから笑いが出てしまったことを表しています。
例文3:発表
緊張のあまり言い間違いを連発し、会場の失笑を誘ってしまった。
意図せず周囲を笑わせてしまった状況です。
「失笑を買う」の意味とは?
「失笑を買う」という表現もよく使われます。
これは、愚かな言動や的外れな言動などによって、人から笑われることを意味します。
例えば、
根拠のない自信満々の発言をして、周囲の失笑を買った。
という使い方ができます。
「失笑を買う」は、「笑いも出ないほどあきれられる」という意味ではなく、
自分の言動によって周囲から笑われるという意味だと考えると分かりやすいでしょう。
「笑えないほどあきれる」と言いたい場合は?
誤解を避けたい場合は、「失笑」を使わず、意図をそのまま表現する方法があります。
例えば、
あきれて言葉が出なかった。
笑う気にもなれなかった。
あまりのひどさにあきれ返った。
などです。
特に仕事上の文章など、意味を正確に伝えたい場面では、
こうした具体的な表現の方が伝わりやすいでしょう。
「失笑」についてよくある質問
「失笑」の読み方は?
「しっしょう」と読みます。
「失笑」は笑わないことですか?
本来は逆で、思わず笑ってしまうことを意味します。
ただし、文化庁の令和5年度調査では
「笑いも出ないくらいあきれる」という意味を選んだ人が67.0%でした。
「失笑」と「苦笑」は同じですか?
同じではありません。
「失笑」は思わず吹き出して笑うこと、
「苦笑」は不快感や戸惑いなどを感じながら仕方なく笑うことです。
「失笑を買う」とはどういう意味ですか?
愚かな言動などによって、周囲の人から笑われることを意味します。
まとめ
「失笑」は、本来、おかしさをこらえ切れず、思わず吹き出して笑うことを意味します。
一方、現在は「笑いも出ないほどあきれる」という意味で理解する人も多く、
文化庁の令和5年度調査では、この意味を選んだ人が67.0%でした。
覚えるなら、
本来:こらえ切れず思わず笑う
現在よく見られる理解:笑いも出ないほどあきれる
と整理すると分かりやすいでしょう。
「失笑」「苦笑」「冷笑」「嘲笑」はそれぞれ意味が異なるため、
状況に合った言葉を選ぶことが大切です。


